前の記事で、GEOを見つかる・読める・引用されるの段階に分けて説明しました。

見つかる:AIが組み立てた検索語で検索したときに、自社のページが回答の材料として集められること

この記事では、一つ目の「見つかる」を扱います。

AIが検索している語と人が検索するときに打つ語は違うため、検索結果の1位に表示されているページがAIの回答には一度も出てこないことが起きます。

AIがどんな語を組み立てているのか、自社のページがその語で集められているかをどう確かめるのか、集められていなかったときに何をするのか。この3つを、当社が観測した実際のデータをもとにQueryLiftとしての答えを示します。

人が打つ語とAIが組み立てる語は違う

人は短い語を打ち、AIは文から条件を読み取って組み立て直す

人が検索するときに打つのは、短い語です。「経費精算 ツール」「会計ソフト おすすめ」。SEOは、こうした語で上位に出ることを目指してきました。キーワード調査も、人が打つ語を集める作業です。

一方、生成AIに投げられるのは文です。「従業員50人の会社で、申請から承認までを一本化できる経費精算ツールはありますか」。AIはこの文から条件を読み取り、検索に使う語を自分で組み立て直します。

AIは1つの質問を複数に分けている

1つの質問が、方向の違う複数の検索に分かれる

生成AIは、質問を複数の検索用クエリに展開し、並行して検索します。この仕組みをクエリファンアウトと呼び、展開された個々の検索をサブクエリもしくは検索クエリと呼びます。

「経費精算のおすすめツールは?」という質問の裏では、「経費精算 ツール 比較」「経費精算 SaaS 料金」「経費精算システム 中小企業」といった検索が同時に走ります。AIは、そこで見つかった文書を材料にして答えを書きます。

Googleも公式ガイドで、AI機能が一つの質問から関連する検索語を複数作って同時に検索し、集めたページをもとに回答を作ると説明しています。

出典:Google Search Central「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」(2026年5月15日公開)

検索クエリにヒットしなかった情報は、原則としてAIの回答に出てきません。

AIは人間とは違う検索クエリを使う

3分野を通して、人が打つ語には出てこない形がありました。

形

実例と出現割合

検索演算子で絞り込む

site:(競合のドメイン)20.9%
site:(学会のドメイン)
site:(公的機関のドメイン)

ファイル形式を指定する

pdf 59.8%

英語で調べ直す

optimization 25.6%
engine 23.3%
generative 23.3%

年を付ける

2026(会計ソフト・PR広報)
2017(薄毛治療)

出典:QueryLift観測(会計ソフト・PR広報・薄毛治療の3分野、ChatGPT/Claude、2026年7〜10月)

site: は、特定のドメインに絞って検索する書き方です。AIは競合の公式サイトを名指しで見に行っていました。

年の付け方は、分野によって違いました。会計ソフトとPR・広報では2026。薄毛治療では2017です。2017は診療ガイドラインの発行年でした。最新の年を付けているのではなく、その分野で意味のある年を特定しています。

社名を出さずに聞いても、検索クエリには大手企業の社名が入っている

会計ソフトの分野で「法人向けにおすすめの会計ソフトを教えてください」と聞いたとき、ChatGPTが組み立てた検索クエリの検索語です。

検索クエリに含まれた語

出現割合

会計ソフト/法人向け

100.0%

(大手Aの社名)

95.6%

2026/公式

90.0%

(大手Bの社名)

88.9%

(大手Cの社名)

80.0%

(大手Dの社名)

43.3%

(大手Eの社名)

22.2%

出典:QueryLift観測(会計ソフト分野、ChatGPT、2026年7〜10月)

社名を一切含まない質問なのに、検索クエリには大手5社の名前が入っています。上位3社は80%を超えていて、ほぼ毎回検索されています。

PR・広報の分野でも同じでした。「おすすめのPR会社を教えてください」に対して、業界大手1社の社名が18.6%、site:(その大手のドメイン)が20.9%。公式サイトを名指しで取りに行っています。

一方Claudeでは、同じ質問に対して、社名ではなく「大手」という一般語を使っていました(50.0%)。会計ソフトの分野でも、大手3社の社名はいずれも7.8%にとどまっています。

ChatGPTは「この分野の大手は誰か」を先に特定してから、その社名で検索しているため、非指名の検索なのに、特定領域の大手を検索キーワードに入れて回答することが割とあるのです。

こうした検索クエリは、人が打つ語を調べるキーワード調査には出てきません。SEO対策だけで、GEOはどこまでカバーできるのかでも書いたとおり、SEOのキーワード設計だけでは、確かめられない部分があります。

AIモデルによって検索クエリが違う

ChatGPTは一次資料を、Claudeは解説記事を回答の材料にする

当社が会計ソフト、PR・広報、薄毛治療の3分野で、2026年7月から10月までの3か月間にChatGPTとClaudeが実際に使った検索語を観測したところ、AIモデルによって検索クエリが全く異なることがわかりました。

下の表は、薄毛治療の分野で「薄毛が気になり始めたのですが、どんな治療法がありますか」と聞いたとき、それぞれのモデルが組み立てた検索クエリです。

ChatGPTが使った語(出現割合)

Claudeが使った語(出現割合)

日本皮膚科学会 97.8%

種類 100.0%

2017 95.7%

特徴 96.0%

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 65.2%

治療法 72.0%

pdf 59.8%

違い 16.0%

推奨度 22.8%

方法 16.0%

添付文書 12.0%

効果 8.0%

出典:QueryLift観測(薄毛治療分野、2026年7〜10月)

ChatGPTは学会名、ガイドライン名、ファイル形式を指定して、一次資料そのものを取りに行っています。Claudeは「種類」「特徴」「治療法」と、解説記事に当たる語を並べています。

PR・広報の分野でも同じ構造でした。質問「おすすめのPR会社を教えてください」に対して、ChatGPTは「実績」「公式」「評判」を、Claudeは「ランキング」「比較」「大手」「選び方」を使っていました。

同じ質問を投げかけても、AIモデルによって組み立てる検索クエリは異なるのです。

どう対策したらいいのか

① まず自社がどの検索クエリで集められているかを観測する

検索クエリは推測できない

薄毛治療では学会名とガイドラインのPDF、会計ソフトでは大手5社の社名が検索クエリに入っていたように、人が使う検索語を調べるだけでは出てこないため、AIならではの検索クエリを知ることが大切になります。

加えて、その検索クエリで自社が参照されているかも重要になります。

薄毛治療の分野で観測した例では、検索クエリの語によって、自社HPが参照された割合が大きく違います。

検索クエリに含まれた語

その語の検索で、自社HPが参照された割合

日本

20.6%

公式

20.1%

(自社の商材名)

10.2%

ミノキシジル

1.4%

男性型脱毛症

0.6%

日本皮膚科学会

0.5%

ガイドライン

0.2%

出典:QueryLift観測(薄毛治療分野、ChatGPT、全プロンプト、2026年7〜10月)

「公式」が付いた検索と、学会名や成分名での検索とで、40倍近く違います。この会社は、「公式」と自社の商材名を含む検索でしか拾われておらず、学会のガイドラインや成分名を調べる検索では、ほぼ回答の材料に入っていません。

② 既存の記事がその検索クエリでヒットするか確認する

各検索クエリで自社のページが上位に出なければ、どれだけ良いページでも回答の材料に入らない

AIが組み立てた検索クエリで上位に出たドメインは、AIの最終回答に引用されやすい傾向が報告されています。

出典:Hakuhodo DY ONE「ONE-AIO Lab」の調査(AI検索カンファレンス2026、2026年2月12日。件数や手法は公表されておらず、傾向として報告されているもの)

つまり、狙った検索クエリで、自社のページが上位に出ている必要があります。既存の記事がそのクエリでヒットする状態になっているかを、1つずつ確認します。

③ 検索クエリにヒットするようにページを直す

1つのページで複数の検索クエリに答える

直し方は、SEOのキーワード設計とは変わります。SEOでは、「比較」の記事、「選び方」の記事、「事例」の記事、というように1つのキーワードに1つの記事を当ててきました。

ところがAIは、1つの質問から方向の違う検索クエリを同時に投げるため、記事が分かれていると、そのうち1本しか材料に入りません。

GEOでは、1つの記事で複数の検索クエリに答える形にすることが重要になります。経費精算ツールの記事なら、こうなります。

AIが投げる検索クエリ

1本の記事に入れるもの

経費精算 ツール 比較

他社製品との比較

経費精算 ツール 中小企業

どんな会社に向くか

経費精算 ツール 導入事例

導入した会社の事例

経費精算 ツール 使い方

よくある質問と答え

この4つを別々の記事に分けると、AIが投げる4本の検索クエリのうち、1本分しか材料に入りません。1本の記事に揃えておけば、どの方向から来ても同じページが回答に拾われます。

実際に、クエリファンアウトに対応する記事を新しく作り、比較・適合条件・事例・FAQまでを1記事に網羅したところ、AIの推奨率が0%から14%になった事例が公開されています。

出典:株式会社LANY「GEO対策とは?押さえるべき基本から具体的な施策、成功事例まで徹底解説」(大手通信企業の事例)

おわりに

QueryLiftでは、生成AIが回答を作るときに実行した検索クエリを、AIモデルごとに記録しています。自社の分野でどんな検索クエリが投げられているのか、そのうちどの語で自社のページが拾われ、どの語で拾われていないのか。こうした観測から、ウェブサイトがどの段階に課題を抱えているのかを特定し対策に繋げます。

ぜひ一度、2週間の無料トライアルで、自社のページがAIのどの検索で集められているかを確認してみてください。

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