GEO(生成エンジン最適化)対策は、SEO(検索エンジン最適化)対策の延長ではありません。検索エンジンの表示順位と、生成AIの引用選択は、別々の仕組みで動いています。

検索エンジンは、被リンクなどページの外側にある情報から「このページを見せるべきか」を順位で決めます。生成AIは、コンテンツそのものを読んで「この文を、この答えの根拠として使えるか」で選びます。判断している対象が、ページと文で違います。

本記事では、SEOとGEOの違い、AIが答えを作る仕組み、そしてSEOで長く使われてきた手法がAIにも効果があるのかを整理します。

SEOとGEOは、何が違うのか

選ばれる単位と判断材料が、そもそも違う

SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)とは、検索エンジンの結果ページで自社のページが上位に表示されるようにする取り組みです。

GEO(Generative Engine Optimization/生成エンジン最適化)とは、生成AIが作る回答の中で、自社が言及され、出典として引用されるようにする取り組みです。

SEOが相手にするのは検索エンジンの順位づけの仕組みで、GEOが相手にするのは答えを書く生成AIです。検索結果の一覧に載ることを目指すのがSEO、答えの中で名前を挙げられ、出典として示されることを目指すのがGEOだといえます。

比較項目

SEO

GEO

対象

Googleなどの検索エンジン

ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexity、Google AI Mode、Google AI Overviews などの生成AI

目的

検索結果で上位に表示され、クリックされること

AIの回答の中で言及され、出典として引用されること

読者との接点

検索結果に並ぶ自社のページ

AIが生成した回答の文章

成果指標

検索順位、表示回数、クリック数、自然検索流入

言及割合、引用割合、回答の中での取り分

ユーザー行動

キーワードを入力し、結果の一覧から自分で選ぶ

質問を投げ、返ってきた答えを読む

選ばれる単位

ページ

ページの中の一文・一段落

判断材料

被リンクなど、ページの外にある情報の比重が大きい

コンテンツそのもの

AIは、どうやって答えを作っているのか

検索で取得された文書が、答えの材料になる

生成AIは、おおまかに次の4段階で動きます。

  1. 質問(プロンプト)を受け取る
  2. クエリファンアウト ── 1つの質問が複数の検索クエリに展開されます。「経費精算のおすすめツールは?」なら、「経費精算 ツール 比較」「経費精算 SaaS 料金」といった検索が同時に実行されます
  3. コンテクスト注入 ── 検索で見つかった文書が、答えを書くための材料としてモデルに渡されます
  4. 回答生成と引用 ── 渡された材料をもとに答えの文章が作られ、参照した文書が出典として示されます

ここから、大事な性質が1つ出てきます。材料に入らなかった情報は、原則として答えに出てきません。そして材料になるのは、多くの場合、検索で上位に取得された文書です。

つまりAIは答えを生成する過程で検索を実行するため、GEOの手順の中にSEOが組み込まれている、というイメージです。

なお、この4段階は対話型の生成AIについての現時点の理解であり、検証されたものではありません。検索結果ページに表示されるAI要約(Google AI Overviews など)が同じ仕組みで動いているかも、分かっていません。

検索順位1位が、AIの引用に繋がるのか

順位が高いことは、回答の中での取り分を守らない

検索で上位に取得されることは、材料に入るための条件です。では、材料に入ったあと、答えの中でどれだけの取り分を得られるかは、何で決まるのか。

生成エンジン最適化を検索順位ごとに効果を分けて測った結果があります。この実験は、すべてのサイトが同時に同じ施策を適用した状況で、検索順位ごとに回答の中での見え方がどう変わるかを測ったものです。

施策

検索1位のサイト

検索5位のサイト

出典を明記する(Cite Sources)

−30.3%

+115.1%

引用を追加する(Quotation Addition)

−22.9%

+99.7%

統計データを追加する(Statistics Addition)

−20.6%

+97.9%

権威のある書き方にする(Authoritative)

−6.0%

+6.1%

文章の流れを整える(Fluency Optimization)

−2.0%

+2.2%

1つの回答に載る分量には限りがあるため、あるサイトの取り分が増えれば、別のサイトの取り分は減ります。

これは施策を適用したときの相対的な変化であり、検索結果で検索順位が高いことが、AI回答内のシェアを守る材料にはならない、といえるでしょう。

なぜか。従来の検索は、被リンクなど「ページの外側にある評価」に大きく依存していました。一方、生成エンジンはコンテンツそのものを直接評価します。その結果、ドメインの強さに関係なく、よく構造化され根拠が示されたコンテンツが競争できる状態が生まれつつあるといえるでしょう。

検索エンジンは「このページを見せるべきか」で順位を決め、生成AIは「この文を、この答えの根拠として使えるか」で選ぶ、ということです。

検索対策は土台として残り、その上で「答えの中でどう描かれるか」という目指すものが、順位から描かれ方へ広がるのです。

SEOで効いてきた手法は、AIにも効くのか

キーワードの詰め込みは、何もしないより悪い結果だった

検索順位を上げればAIにも引用してもらえるのなら、SEO対策である程度カバーできるのではないか——そう思った方もいるかもしれません。

結論、逆効果になってしまうものもあります。生成エンジン最適化を扱った論文が、9つの施策を比較しています。測っているのは、その出典が根拠になっている文が、AIの回答全体のうちどれだけの分量を占めたかです。回答の前のほうに出てくるほど重く数えます(Position-Adjusted Word Count という指標)。

施策

論文が示した実測値

ベースライン比

何もしない(ベースライン)

19.3

―

キーワードの詰め込み(Keyword Stuffing)

17.7

−8%

珍しい語を増やす(Unique Words)

20.5

+6%

権威のある書き方にする(Authoritative)

21.3

+10%

分かりやすく書き直す(Easy-to-Understand)

22.0

+14%

専門用語を加える(Technical Terms)

22.7

+18%

出典を明記する(Cite Sources)

24.6

+27%

文章の流れを整える(Fluency Optimization)

24.7

+28%

統計データを追加する(Statistics Addition)

25.2

+31%

引用を追加する(Quotation Addition)

27.2

+41%

キーワードの詰め込みは、効果がなかったのではなく、何もしないより悪い結果となりました。生成エンジンを Perplexity に替えた検証でも、ベースラインを10%下回っています。

一方で、効果があったのは内容の裏づけを厚くする方向の施策でした。数字を出す。引用を示す。出典を明記する。

SEOで長く使われてきた手法をそのまま持ち込むと、効かないどころかマイナスになるものが混じるといえます。施策は、選び直す必要があるといえるでしょう。

おわりに

SEOは、AIに引用されるための前提ではありますが、GEOはその延長ではなく、SEO対策だけでは不十分です。

ただし、GEOの方法論はまだ固まっていません。生成AIは更新され続けるため、同じ施策がこの先も同じように効くとは限りません。施策を打って終わりにせず、その後も測定し続ける必要があるでしょう。

QueryLiftは、さまざまな生成AIの回答の中で企業名がどう言及され、どのページが出典として引用されているかを測定するサービスを提供しています。

出典

Aggarwal, P. et al.「GEO: Generative Engine Optimization」KDD 2024

初出は2023年11月

表の数値は同論文によるものです。ベースライン比は、論文が示した実測値から算出しました。