国内のAI検索利用率は52.3%
国内のAI検索利用率について、サイバーエージェントの2026年8月調査では52.3%という結果が公表されています。2026年8月7〜10日に全国の15〜69歳9,278名を対象に実施したインターネット調査で、GoogleのAI Modeを含む生成AIによる検索利用を尋ねた結果です。
出典:サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」(2026年8月期)
調査対象の中でAIを検索手段に取り入れる人が半数を超えていることがわかります。一方、生成AIを一度でも使った人の割合、調べものに使う頻度、検索回数に占めるAIの割合は、それぞれ別の数字です。
マーケティングや事業の会議では、市場全体の動向を知りたいのか、自社顧客との接点を考えたいのかによって、必要な根拠が変わります。生成AIの回答で自社がどう紹介されるかを扱うGEOを検討する際にも、まず利用の広がりを適切に捉えることが大切です。本記事では国内の公表値を読みながら、誰を調査したか、何を数えたか、いつ調査したか、その結果を自社顧客に当てはめられるかを整理します。
全体調査と経験者調査ごとにみるAI検索利用率
対象によって読み取れることが違います。
サイバーエージェントの調査では、AI Modeを含む生成AI検索を利用する人が52.3%で、調査対象の半数を超えています。

AI Modeを含む生成AI検索を利用する人は52.3%で、調査対象の半数を超えています。
マネーフォワードの2026年1月調査は、生成AIで調べものをした経験がある社会人2,204名を対象に、調べものに生成AIを「よく使う」「ほぼ毎回使う」と答えた人の合計が58.1%でした。未経験者を含めた社会人全体の普及率ではなく、すでに経験のある人がどの程度使っているかを表しています。

生成AIで調べものをした経験者のうち、58.1%が「よく使う」または「ほぼ毎回使う」と回答しました。
出典:マネーフォワード「生成AIと検索エンジンの利用実態調査」
また、ナイルの調査では、2025年10月15〜17日に全国の20〜60代1,028名を対象に、調べものの際に生成AIを使うと答えた人を43.5%と報告しています。こちらを国内の調べもの利用の一例として示すことはできますが、58.1%との差を利用率の伸びと説明することはできません。調査時期に加え、対象者の選び方と、利用の有無を尋ねるのか頻度を尋ねるのかが異なるためです。

全国20〜60代の43.5%が、調べものの際に生成AIを使うと回答しました。
出典:ナイル「生成AIの信頼度に関するアンケート調査vol.2」
生成AIの利用用途を見ると、日本リサーチセンター(NRC)の2026年6月調査では、調査は全国20〜69歳の同社パネルを対象に、生成AIの現在利用者が複数回答で挙げた「情報収集、リサーチ」が62.9%で最も高く、アイデア出しや文書作成・校正を上回っています。

生成AIの現在利用者の62.9%が「情報収集・リサーチ」を選択しました(複数回答)。
出典:日本リサーチセンター「生成AIについて 2026年6月調査」
調査対象と質問内容の違いは、資料の書き方にも反映できます。「社会人の約6割が日常的にAI検索をする」ではなく、「AIで調べた経験のある社会人への調査では、約6割が調べものによく使うか、ほぼ毎回使うと回答した」と書けば、経験者の利用頻度を伝えられます。前者の説明に必要なのは未経験者も含む調査ですが、後者なら経験者を選んだ調査が答えになります。誰のどの行動を説明したいかを決めてから、それに合う数字を選びましょう。
出典:マネーフォワード「生成AIと検索エンジンの利用実態調査」
利用者の割合・アクセスの割合・自己申告を混ぜない
利用する人が増えることと、検索エンジンで調べる回数が同じ割合だけ減ることは別です。マネーフォワード調査では、対象者の44.8%が検索エンジンの利用頻度が減ったと答えています。これは変化を感じた人の割合であり、検索回数が44.8%減ったという実測結果ではありません。一人ひとりが以前は何回検索し、今は何回検索しているかまでは、この値から読み取れません。
出典:マネーフォワード「生成AIと検索エンジンの利用実態調査」
サイバーエージェントの2026年8月調査にも、検索エンジンと生成AIの両方を使う人の46.6%が、検索行動の半分以上をAIに切り替えたと答えた結果があります。併用者が自分の検索行動をどう捉えているかを示す回答ですが、日本全体の検索の半分以上がAIに置き換わったという意味ではありません。AIを使わない人はこの設問の対象に含まれず、検索履歴を集計した値でもないためです。
出典:サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」(2026年8月期)
アクセスに基づく指標も、人数とは分けて読みます。博報堂DY ONEのAI検索動向記事は、StatCounterの数値がWebサイトへのアクセス状況に基づく推定であり、実際のユーザー数や市場シェアと異なり得ると注記しています。同じ人が繰り返し利用することもあるため、アクセスの割合をそのまま人数の割合にはできません。どの訪問やサービスを集計しているかも、その指標の説明で確認する必要があります。
出典:博報堂DY ONE「2026年3月のAI検索エンジン動向」
たとえば「顧客が情報収集にAIを取り入れている可能性」を説明したいなら、人に利用状況を尋ねた調査が参考になります。「AIサービス同士のアクセス構成」を知りたいなら、対象とするアクセスの範囲を確認したうえで、その指標を使います。さらに今後使いたいという意向は、実際に使ったという回答とも区別が必要です。割合の対象が「利用者」「アクセス」「利用頻度が減ったと回答した人」のどれかを確かめると、数値から言える結論が明確になります。
時期・対象年齢・サービス範囲を確認して比較する
増え方を見るときは、対象者と設問がそろう系列を選びます。総務省が紹介する生成AIの利用経験率は、2024年度が26.7%、2025年度が58.8%です。ただし、前者の対象は20歳以上で、後者は15〜19歳を加えた15歳以上です。同省は2025年度の20歳以上の値も52.2%と示しています。20歳以上の利用経験の変化を説明するなら、26.7%と52.2%を用いることで年齢条件をそろえられます。
この比較からは、20歳以上でも生成AIの利用経験が広がったことがわかります。ただし、文章の作成や画像の生成なども含む利用経験のため、AI検索の伸びとは分けて説明します。資料に載せる際は、調査対象の年齢に加え、利用経験と検索利用のどちらを示す数字なのかを添えましょう。
調査の年月は記事の更新日とも区別します。ナイルの記事は2026年3月5日に更新されていますが、AIで調べものをする人の割合43.5%は2025年10月の調査結果です。更新日だけで並べると、2026年1月のマネーフォワード調査より新しい実態を示すように見えてしまいます。比較表には「実査時期」を独立した欄で置き、更新日は資料を管理する情報として残すと混乱を防げます。
出典:ナイル「生成AIの信頼度に関するアンケート調査vol.2」
サービスの範囲も同様です。冒頭の52.3%にはAI Modeが含まれます。別調査がどのサービスを含むか確認できなければ、数値の大小を時系列の増減とみなさず、異なる条件の調査結果として並べます。比較の条件がそろわない場合でも、各調査が示す利用場面や年代差は検討材料として残ります。
出典:サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」(2026年8月期)
年代別のAI検索利用率から、自社顧客への当てはめ方を考える
年代別の値は、AI検索の利用をどの顧客層で確かめるかを考える手がかりになります。
サイバーエージェントの2026年8月調査では、15〜19歳が80.6%、20代が61.0%に対し、40代は50.2%、50代は46.1%、60代は39.6%でした。若い層で高い一方、中高年にも利用者がいます。
以下では、40〜50代を主な顧客とする旅行サービスを架空の例として、各年代の値をどう扱うかを考えます。
出典:サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」(2026年8月期)
年代別のAI検索利用率と、架空の旅行サービスでの読み方(2026年8月・AI Modeを含む)
年代 | 利用率 | 40〜50代向けサービスでの扱い |
15〜19歳 | 80.6% | 若年層の背景情報 |
20代 | 61.0% | 主顧客とは別の年代 |
40代 | 50.2% | 主顧客に近い年代の参考値 |
50代 | 46.1% | 主顧客に近い年代の参考値 |
60代 | 39.6% | 隣接する年代の参考値 |
出典:サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」(2026年8月期)
この旅行サービスが、15〜19歳の80.6%を根拠に「顧客の大半はAI検索を使う」と説明するのは適切ではありません。まずは主顧客に近い40代と50代の値を参照します。それでも、全国の同年代と、その旅行サービスを選ぶ人が同じ行動をするとは限りません。会議では「主顧客に近い年代にも利用者がいるため、旅行を調べる場面でも利用しているか確かめたい」と説明すれば、参考値を自社の確認につなげられます。
年代に加えて、利用する場面も確認します。マネーフォワード調査では、AIで調べものをした経験者の51.5%が「概要や要点を素早く把握したい」と回答し、この選択肢が最多でした。これは情報を短く整理して知りたいという使い方を示しますが、旅行先の検討や宿泊施設選びの利用率を示す数字ではありません。普段は仕事の要約にAIを使う人でも、旅行では地図や口コミを中心に調べる可能性があります。
出典:マネーフォワード「生成AIと検索エンジンの利用実態調査」
旅行サービスの例なら、顧客が直近の旅行で何を調べ、どの場面でAIを使ったかを確かめると、公表調査を自社顧客に当てはめられるか判断する手がかりになります。行き先の候補整理に使ったのか、移動方法だけを尋ねたのかでも、企業との接点は異なります。顧客への聞き取りで得た個別の回答は、利用場面を理解する材料になります。少数の事例から顧客全体の利用率を決めたり、年代の割合に別調査の用途の割合を掛けたりして、旅行での利用率を推計することはできません。
「AIを使うか」だけでなく、直近の旅行で調べた内容、使ったサービス、入力した問いを聞くとで、公表調査は対象とする年代や用途の仮説に使い、個別の話はその仮説が顧客の実態に合うかを確かめる材料にする、という役割分担です。
顧客がAIに尋ねる内容が見えてきたら、その問いに対して自社がどう紹介されるかも確認します。
おわりに
AI検索の利用率は、調査対象、尋ねた行動、実査時期、対象に含まれるサービスによって意味が変わります。公表された割合を、そのまま自社顧客の利用率として扱うことはせず、自社顧客がどの場面でAIを使うかは、顧客への聞き取りなどで別に確かめる必要があります。
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